なぜ、歯は生え変わるのか?
- 2024年11月号 -
先日、子供の下の前歯が抜けました。「もう生え変わりの年齢なのか」としみじみ考えてしまいました。
ちなみになぜ人の歯は生え変わるのかご存知でしょうか?
以前、他のトピックでサメは何度も歯が生えてくることを記載したと思うのですが、今回は「なぜ何度も生え変わらないか」という質問ではなく、「なぜ人の歯は最初に生えた歯がそのままずっと使えず、乳歯から永久歯に生え変わる必要があるのだろう?」ということです。
そんなことを考えたことはないでしょうか。
日本人は一般的に生後6~8ヶ月で乳歯が生え初め、2歳半~3歳で乳歯がそろいます。
歯の大きさは時間ともに大きくなることはありませんが、人は成長に伴い顔や顎が大きくなります。
もし、乳歯のまま歯が生え変わらなければ、どうなるでしょうか?
大きくなった顎と歯のバランスが悪いため、歯の間に隙間ができり、本数も少ないため物を咬むのに十分な能力を発揮できません。
成長した顔や顎に合った歯の大きさ・数が必要になるため乳歯から永久歯に生え変わるわけです。
ちなみに乳歯は全部で20本、永久歯は28本(親知らずを含めれば32本)です。
つまり、すべての乳歯が生え変わって永久歯になると勘違いされている方も多いのですが、実は生え変わるのはもともと乳歯のある20本で、俗にいう6歳臼歯と12歳臼歯(親知らずを除いて一番奥と奥から2番目の歯)は、初めて生えてくる歯になります。
乳歯より大きい永久歯とこの追加される大きな奥歯2本で、成長した顎の空間を補いしっかりと物が咬めるようにしているわけです。
ちなみに余談ではありますが、ずいぶん昔に矯正の研修を受けた時に講師の先生に質問されたことがあります。
「先生達の世代は永久歯の生え変わりの順番ってどう習った?」と。
私は自分が覚えた通りの順番で答えると、講師の先生は満足そうに
「そうでしょ。でも、今は微妙に違うんだよ。十数年で変わって今の学生はこうやって習っているよ」と教えてくれました。
実際の臨床では、生える時期も順番も個人差があり、そこまで気にはしていませんでしたが言われてみればそうかもしれないと感じました。
人の身体は不思議なものです。