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歯科治療も医療です(続)

- 2013年9月号 -

先週に続いて、歯科治療も医療行為というお話です。

 

研修で最初にみた症例は、子供の普通の虫歯の治療の症例です。

通常の虫歯の治療後、心拍停止をおこし、心電図をつけて心マッサージを行っている波形が映し出されました。

その波形は、途中からただの横線へ変わりました。

 

次の症例も、ご年配の方で普通の虫歯の治療の症例です。

同様に心停止を起こし、心マッサージを行い、それでも死亡した症例です。

 

その後も死亡した症例、もしくは発作等を起こした症例を見ました。

 

もちろん、大学病院で虫歯の治療を受けるという事は、もともと何らかの全身疾患を持たれているはずです。そして、緊急時に麻酔科や医科の救命チームが駆けつけて蘇生を行っていても、死亡した症例です。

驚くべきことは、そこで行われた治療が抜歯やインプラントなどの外科処置ではなく、通常の歯科治療であるという点です。そして、上記で上げたように、ショック等が起こってしまった後では、専門の救急チームが処置しても亡くなってしまっているという点です。(もちろん、蘇生できた症例も多数あるはずですが)

 

設備やそれぞれの専門医がそろった大学病院ですから、これらは大きな問題とならなかったのではないかと考えられます。

虫歯の治療ですから、程度によると思いますが高血圧・糖尿病等のコントロール状態が悪くない患者では、麻酔薬等に注意し歯科治療を行う場合がほとんどです。実際、患者さんの高齢化も進み、高齢者の多くの方が何らかの全身疾患をお持ちの場合がほとんどです。その方々をすべて大学病院へ紹介していては、大学病院もとても対応しきれないでしょうし、患者さんも大変でしょう。

 

今回の研修を受け、歯科治療も医療行為という事を、頭では理解していたつもりでしたが、改めて身の引き締まる思いを感じました。

 

全身疾患をお持ちの患者さんで、かかりつけ医に手紙を書くと、問診票で書いてあった以外の問題となる病名がついて手紙がかえってくる場合もあります。また、患者さんに申告していただいた血圧や血液検査等の状態よりも、はるかに悪い数値がかかりつけ医より伝えられる場合もあります。

「おそらく歯の治療程度だから大丈夫だろう」と考えられているかもしれませんが、極めて危険です。

 

ご自分のお体の状態、必ず診療前に教えていただきたいと思います。

また、面倒かもしれませんが、できる限りかかりつけ医と連絡を取って、全身状態を把握したうえで、処置を行いたいと考えておりますので、よろしくお願い致します。

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