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CAD・CAM冠はじめました

- 2014年7月号 -

「冷やし中華はじめました」

のようなTOPICですが、当院ではCAD・CAM冠はじめました。

 

CAD・CAM冠って何?と言われそうなので、簡単な説明をしておきます。

 

(保険の場合は形どりをして)3Dの情報として読み込み、その情報を利用してブロックを削り出して被せ物を作るという方法です。

今年の4月から保険に導入された治療法になります。

当初は認められる機械や技工所の関係でなかなか条件が厳しいと感じましたが、幸い、関係がある技工所が対応する機械を使用していることがわかり、導入に至りました。

 

「先進医療の保険の導入」というかたちで認められるようになった治療法ですが・・・。

だいぶ前にTOPICSでセレックという機械を取り上げたことがあります。

セレックも削り出して作りますが、セレックの場合は基本的にセラミックのブロックを削り出して作っていきます。料金は通常のセラミックのものよりかなり抑えられるのですが、単一のブロックを削り出すため、審美性・精度という点において、技工士さんが作るセラミックの物よりも数段劣るというのが私の判断でした。よって、当院での自費(保険外)治療レベルに達していないと考え取り入れませんでした。

 

今回の保険の物に関しては、セラミックではなく、セラミックと樹脂を掛け合わせたハイブリットという素材のブロックのため、上記のセレックの物より審美性・強度等においてさらに劣るというのが本音です。そのような状態ですから、通常のセラミックの被せ物よりは、比べ物にならないと考えています。

 

では、なぜそんなCAD・CAM冠を導入したのか?

 

上記は、すべて保険外の処置(自費)と比較した場合の話です

保険の素材を考えると、部位や条件は限られますが、奥歯(奥歯と言っても小臼歯という真ん中ぐらいの歯のみ)で、しかも保険でできる白い被せ物となると今まではHJKという樹脂の被せ物しかない状態でした。

HJKは、「前歯の治療中に使う仮歯を少し硬くした程度の物です」という先生もいますが、私も全く同意見です。強度や歯肉への影響等、かなり厳しいものがあります。

これに比べると、まだ今回のCAD・CAM冠のほうがよいだろうという判断です。

 

白い被せ物というと、通常は保険外(自費)を考えますが、そこを基準に考えると数段劣ります。一方で、今までの保険のHJKよりかは良いという考えで選ばれるならば、治療法の一つとしてあってよいかと考えました。

 

削り出しのため単一の色、色の選択も制限があります。使用できる部位も制限があります。

これらの事を承知の上で、選ばれるのであれば、それも一つの選択かなと思います。

 

CAD・CAM冠は申請が必要なため、できる医院とできない医院があります。

不明な場合は、かかりつけの医院におたずねください。

 

注意
上記の保険のCAD・CAM冠に関しては、脱離の問題が多数報告されているとの事より、当院では2015年よりその使用を一時、中止しています。
保険のCAD・CAM冠と十分な接着力を持つセメントが開発され、臨床的な問題が解決されたと判断した場合は、再開いたします。

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