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新聞への掲載③

- 2024年2月号 -

先日(1/23)、神奈川新聞の朝刊へ文章を掲載させて頂きました。

 

今回は顎関節症に関する質問を選ばせていただきました。せっかくですのでトピックに掲載記事および原稿文章を掲載させて頂きます。

 

(掲載記事)

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(原稿)
Q:昔から口を開けると音がしていましたが、痛みを感じるようになったので歯科医院に行ったら顎関節症と言われました。顎関節症とはどのような病気なのでしょうか。どのような治療になるのでしょうか。

 

A:顎関節症とは下顎骨と頭蓋骨の間にある顎関節やその周囲の筋肉・骨・軟骨・靭帯などに障害が生じ、口を開ける時に音が鳴る(関節雑音)、口が開けらない・開きにくい(開口障害)、口を動かすと痛みがある(疼痛)などを主要症状とする障害を取りまとめた病名です。

 

顎関節症には以下のように様々な種類があります。
1型:咀嚼筋痛障害 顎を動かす筋肉の痛みを主な症状とするもの
2型:顎関節痛障害 顎関節の痛みを主な症状とするもの
3型:顎関節円板障害 顎関節の中の関節円板にずれが生じたもの
4型:変形性顎関節症 顎関節を構成する骨に変化が生じたもの

 

顎関節症はひとえにかみ合わせの悪さが原因と考えられている時代がありました。
しかし、現在では顎関節症は様々な要因が複雑に積み重なって生じてくる多因子性疾患と考えられています。かみ合わせの悪さは単独の原因ではなく、多数存在する原因の中の一つでしかないと考えられています。つまり、引き起こす要素となる原因が多数存在し、それが積み木のように積み重なり、その人の持っている総合耐久力(適応力)を超えると、症状としてあらわれてくるという考え方です。
「咬み合わせの悪さ」だけでなく、「歯ぎしりや食いしばり」「不良な姿勢」「精神的問題」など複数の原因が考えられています。
よって、以前のように顎関節症と診断されたからといって、すぐに矯正によってかみ合わせを改善したり、多数の歯を削ってかぶせものでかみ合わせを治すといった治療を行うということは現在では少なくなってきました。

 

顎関節症の多くが適切な治療を受けないと悪化し機能を永久に損なうといった病気ではなく、また日常生活の様々な要因が関係していることから高血圧や糖尿病のように「生活習慣病」のようにとらえるようになっています。生活習慣病の治療において最も大切なことは、患者さん自身が病気を理解し自分で気を付け、管理していくことです。
日常生活において顎に負担がかからないように様々なことを注意してもらうことや、ストレッチなどを行うことで前述の原因が完全に取り除けないまでも症状が表面に出ないように(総合耐久力を超えない範囲内に)する対応が有効とされています。それでも改善が見られなければスプリントというマウスピースのようなものを作成する治療法へ移行すると思います。

 
 
 

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